みんなで考えてみよう、このまちの防災 #つながる防災 クロストーク
みなさんは災害が起こった際、官公庁がどのような活動をするか、ご存じでしょうか?
今回は自衛隊を含めた5団体が集まり、南海トラフを想定した活動内容についてお伺いしました。

自衛隊の活動について
今回お話を伺った久保さんは、東日本大震災で活躍された経験や、具体的に予想される事態についてお話してくださいました。
一般的に発災1~2日後、自衛隊が現地に到着し活動が開始されます。発災から2~3日かけて人命救助を行った後、生活支援へと活動内容が変わっていきます。自衛隊は数か月単位で支援をしてくれますが、現地での活動は3か月程度が限界だそう。その間に、支援活動の内容は地域住民に引き継がれていきます。
久保さんが東日本談震災の復興支援の中で気になったのが、瓦礫やごみの処理について。自衛隊から稼働することのできる重機にも限りがあるため、地域の建築関係者などの協力を得て、トラック等で瓦礫やごみを運んだそう。またどこへ収集するかも議論になったそうで、日頃からどうするかを決めておくことを推奨されました。



上富田スポーツセンターの活用方法について
南海トラフ地震発生後、その被害状況に応じて上富田スポーツセンターか田辺スポーツパークに自衛隊の活動拠点が作られます。どちらになるかは、その時の近隣市町村の被害状況によって判断されるとのこと。今回は上富田スポーツセンターが活動拠点になった場合の活用方法について伺いました。
上富田スポーツセンターには、野球場やラグビー場など広い場所があります。有事の際には、給水や給食支援、また医療チームの拠点、輸送ヘリの発着地、また自衛隊員やボランティアの宿泊所として活用予定です。
しかし、上富田スポーツセンターから住宅地まで距離があり避難される方も限定的であることが予想されるため、街中の小中学校などに小さな拠点を作る必要があります。
また、ヘリの離発着にて芝生に損傷を与えることも予想されていますので、災害後も再度スポーツセンターとして運営できるよう復興計画を立てていく必要があります。
先日は自衛隊が上富田スポーツセンターを実際に訪れ、活用方法について視察を行ったそうです。
こういった点から見ても、日頃から市町村と民間企業の間で協力体制を作ることが非常に大切となります。


上富田町役場はどんな活動をしているのか
有事の際、上富田町役場では災害対策本部が設置され、各課の役割に沿って連携しながら活動していきます。日頃の活動としては支援物資の備蓄や自衛隊との連携を図ってくれています。
「役場には130名の職員がいますが、有事の際は私たちも被災者の一人です。備蓄品にも限りがあります。まずは一人一人が3日間生き延びるための備えをお願いします。」と呼びかけました。
ボランティアの受け入れシステム
みなさんは被災地でボランティアをしようと思った時、どのような手順を踏めばいいかご存じでしょうか?
東日本大震災発生2日後、岩手県遠野町にはボランティアらしき人の車が瓦礫で狭くなった道をふさいでいる光景が度々ありました。そうした状況が支援活動の妨げになるのを危惧した地元住民の一人が、個人ボランティアの受け入れや調整を始めました。そのお陰で、チームを組み安全にボランティア活動が行えるようになりました。
その人こそ、現在遠野町の市長・多田一彦さんです。社会福祉協議会の入口に一台の机を置きボランティアの受け入れを始めたのがきっかけとなり、現在全国の社会福祉協議会では統一された災害ボランティアの登録システムを構築するまでに至っています。
【全国社会福祉協議会 / 災害時の支援】
どう備える?どうつながりを作る?
各機関がどんな対策や活動を行っているのかが分かったところで、次に出てくる課題は一人の地域住民としてどう備えるか、公官庁と民間がどうつながりをつくっていくかです。
上富田町では、住宅の安全性を見直すきっかけとして、耐震診断の無料実施や耐震改修等にかかる補助金などの制度があります。上富田町にお住まいの方はもちろん、お住いの市町村のホームページをご確認いただき、できる備えをしていきましょう。
【上富田町 / 耐震診断・耐震改修事業について】

また、自衛隊では定期的に図上演習を行っています。図上演習とは、時間の経過とともに変化する災害発生後の状況を想定・ 付与し、状況に応じた情報の収集・処理(とりまとめ、分析、意思決定等)・伝達等の対応を机上で行う演習です。この演習は1年に1回程度定期的に行われており、一般市民でも見学ができる場合もあるとのこと。
また南海トラフ地震を想定し全国規模で防災訓練を行う「南海レスキュー」について、自衛隊ホームページからその様子を動画で視聴することができます。
【陸上自衛隊 中部方面隊 / 南海レスキュー2024特設サイト】
こうした訓練の見学や地域の防災訓練に参加し、自分の避難行動を見直したり、各部署の動きを知る機会としていただきたいです。
おわりに

今回の座談会では、普段お話することのできない方々にお越しいただく貴重な機会となりました。普段聞けない内容も知ることができ、一部の人からは「もっと活動内容を発信してほしい」というお声も上がりましたが、検討中など誤解を招く内容は発信することができないとのこと。そういった事情からも、こうした場所で現在各部署がどんな動きをしているのかを知ることができたことは、貴重な機となりました。
自分たちの住む地域のことを知るためにも、これからも後地域事業部が行っているヒトボー企画に足を運んでいただけますと幸いですし、LINEオープンチャット「かみとんだ防災プロジェクト」にご参加いただき防災に関する情報を受け取っていただけますと幸いです。(取材・写真・文章 / 加藤綾)

