6/26ヒトボーイベント 『防ティー喫茶』を開催しました。

防ティー喫茶

 6月26日、ちょっとユニークな防災イベント『防ティー喫茶』を開催しました。名前の通り、お茶を飲みながら防災グッズや日頃の備えについて語り合う、あたたかくて真剣な時間。
 集まったのは11名。防災士や防災に関心のある地域の方、上富田町役場の方など、顔ぶれは多彩でした。

 「ちょっとこれ見て!」という熱気あふれる雰囲気で始まったのは、お互いの防災グッズ紹介。防災リュックの中身から次々と道具が飛び出し、参加者同士のシェアが止まりません。

 中でも注目を集めた1つが、首から下げられるトイレットペーパーホルダー。市販品でなくても、普通のトイレットペーパーに紐を通すだけで代用可能。置き場所に困らず清潔で、両手も空くという、なるほどのアイデアです。
 また、折りたためるヘルメットを見た参加者が、その場でネット注文する場面も。グッズを「見るだけ」ではなく、すぐ行動に移す方もいて、防災意識の高さが感じられました。

 さらに、空気で膨らませるエアベッドや、折りたたみベッドの実演も行いました。健常者はもちろん、腰痛のある方や車いすユーザーにとっても、「寝心地」や「起き上がりやすさ」は大切な視点。言葉だけでは伝わらない“使い心地”が、実体験を通じて共有されました。

 そして上富田町役場の方が非常食を提供してくださり、思いがけず試食会がスタート。びっくりしたのは非常食のクオリティ! パンはしっとりして普段食べているものと変わらず、マレーシア料理のナシゴレンは本格的な辛さ。あまりの辛さに、抹茶ラテでお口直しをする参加者も。

 そんな中、参加者のひとりの言葉がとても印象的でした。
「防災セットって、買ったはいいけど、中身覚えてないんよな。」
 思わずうなずいてしまう一言。筆者自身も、自分の手で選んでセットした防災グッズなら中身をだいたい把握していますが、既製品のセットになると「何が入っていたっけ?」とすぐに思い出せません。
 これから備えを始める方には、ぜひ「これはどう?」「あれは必要?」と話しながら、ご家族やお友達と一緒に楽しんで選ぶ時間を持っていただけたらと思います。

 また、防災というと「備える」ことがクローズアップされがちですが、地域や立地によっては「逃げる」を優先するという選択肢もあるのではないか、という意見も出ました。
 例えば津波のリスクがある地域では、「備えるより逃げる」を第一に考え、あえて大量の備蓄を家に置かない、という判断も合理的かもしれません。
 さらに、防災士さんから出たのは「家具を固定する意味」に関する深いひと言。
「家具が倒れないようにするのは、下敷きにならないためだけじゃなくて、自分が“逃げられる時間”を1秒でも稼ぐためなんです。」
 その“1秒”の重みが、会場の空気を一瞬で引き締めました。

 話は東北にも広がります。運営チームの中には東日本大震災を経験したメンバーもおり、そこから共有されたのが、石巻市でのある事例です。
 その地域では、企業ビルが避難タワーを兼ねているケースがありました。高層階が避難所として機能し、備蓄倉庫やストーブ、屋上にはヘリポートまで整備されています。実際、震災の際にはこの会社の従業員全員が無事だったそうです。
 今は共働きが当たり前の時代。子どもたちは学校で防災訓練をしていますが、大人は…?
「災害孤児を増やさないためにも、企業や地域社会が“大人の防災”に本気で取り組む必要がある」
 この視点に、参加者の多くが深くうなずいていました。

 でも、私たちの町では?田辺市の現状を見てみると、課題も見えてきます。

 ある小学校の備蓄水は、なんと500mlのペットボトルが24本だけ。また、別の学校では、非常用トイレセットが校舎の一番端に置かれており、緊急時にすぐ使えるのか疑問が残る配置でした。
 そこで、防災士さんが立ち上がります。
「普段使っているトイレを、非常時にも使えるようにしてしまおう」
 そうした発想から、トイレに設置できる簡易キットを配布する取り組みが始まっています。

 防災は、“人と人”の話からはじまる。

 この「防ティー喫茶」で一番強く感じたのは、防災とは単なるモノ選びではなく、
「自分がどんな暮らしをしていて、誰とどんなふうに助け合いたいか」を考えることなのだということ。実際に、連絡先を交換し合うなどの場面がみられ、繋がりが広がりました。
 誰かの工夫にふれて、自分の備えを見直す。そんなふうに、防災も“人の輪”の中で育てていけたら──そう感じています。

 後工務店 地域事業部では、防災をテーマに地域課題解決をする「かみとんだ防災プロジェクト」を実施しています。オープンチャット『かみとんだ防災プロジェクト』では、防災に関する情報共有や防災イベントの告知を行っております。防災に関する知識や最新情報を入手する手段として、オープンチャットをご活用ください。

『かみとんだ防災プロジェクトオープンチャット』にて、あなたのご参加をお待ちしております!(文:加藤綾)

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